EB5投資永住権プログラム – 今後はどうなるのでしょう?
EB-5投資永住権プログラム対象のプロジェクトを運営している某会社のホームページに、次のような新しいプロジェクトが紹介されておりました。「米国屈指のリゾート地区中心地にハイエンド四つ星ブランドのホテルを建設し運営するプロジェクト」。とても楽しそうなプロジェクト内容です。
(※ EB-5投資永住権プログラムは、米国移民法により定められた政府公認のアメリカ永住権(グリーンカード)を取得するプログラムであり、米国内に規定の投資を行うことにより永住権を取得する移民ビザカテゴリーであります)。
ふと、このプロジェクトの場合には「投資金額が引き上げられなくてよいのかな?」と思いました。「米国屈指のリゾート地区中心地」と「ハイエンド四つ星ブランドのホテル」という内容です。
本来EB-5投資永住権プログラムは、永住権の取得と引き換えに高失業率地区での資金の集まりにくいプロジェクトへの投資を誘致することにより全米各地の経済活性化を狙ってもおります。投資家は投資回収もやや不確かなリスク投資を行って永住権を取得する訳ですが、そうではない場合の(高失業率といった諸条件がない地区への)投資ではより大きな投資金額が求められます。
昨年トランプ大統領義理の息子クシュナー氏の一族会社が行っているEB-5投資永住権プログラム対象プロジェクトが注目されました。必要投資金額はEB-5プログラムにおける最低額であるにも関わらず、プロジェクトで高失業率とは言えない人気エリア・ニュージャージー地区にラグジュアリー複合型アパートメントを建設していたのです。上述のプロジェクト同様「人気のエリア(高失業率エリアとは異なる)」「ラグジュアリー(一般投資家も望むようなリスクが低いと思われる内容)」という点に疑問の声が上がったのです。
通常であれば事業主(運営会社)はホテルやコンドミニアムを建築する際に銀行等の出資者から高い金利を支払い融資を受けます。しかし、このEB-5投資永住権プログラムを使用してホテルやコンドミニアムを建築する事業主は、投資回収目的ではなくグリーンカード取得目的である出資者達から低コストで資金を集め大きな利益を上げることが可能となります。クシュナー氏一族がこのような手法で利益を上げてきているという点が取り沙汰され、又、その投資資金集めの際に「トランプ政権と強いパイプがある」ような示唆を中国人投資家の前でクシュナー氏兄弟が口にしたことが問題視されたのでした。
この問題を受け止め、昨年5月8日付The New York Timesの記事”Kushner Family Stands to Gain From Visa Rules in Trump’s First Major Law”は次のように書いています。
After a surge in attention to the topic over the weekend, a spokesman for Mr. Trump said on Monday that the president also endorses changes to the visa program, including perhaps increasing the price foreigners must pay to get the special immigration status. A White House statement said the administration “is evaluating wholesale reform of the EB-5 program to ensure that the program is used as intended and that investment is being spread to all areas of the country.”
EB-5投資永住権プログラムは、今後プロジェクトの内容次第(又は全て)で必要投資金額が上がる可能性があり、また、対象プロジェクトの認可内容や運営方法が変わるかもしれません。
(正確な情報や詳細については専門会社にお問い合わせ下さいね。)

EB-5プロジェクトで建設された建物例(左:ホテル、右:オフィス棟)
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