トランプ大統領とアマゾン社のロビー活動
ここ数日トランプ大統領がアマゾン社をツイッターで攻撃(口撃)しておりますね。「州および地方政府に税金(売上税)を払っていない。」「アメリカの郵便制度(USPS)を配達少年として酷使しアメリカに損失をもたらしている。」
実際には、売上税を導入している45の州ではアマゾン社直販の場合に同税を徴収しているそうです。しかし、独立販売業者(サードパーティー・セラー)の場合にはこの方針が適用されておらず課税されなかったりするそうです。アメリカの郵便制度(USPS)の損失については経営危機が2007年から続いており、アマゾン社との因果関係については不透明だと聞きます。むしろアマゾン社のお陰で増えた宅配サービス業に関してはUSPSが収益を伸ばしているとも聞きます。
トランプ大統領のツイッターの影響を受け29日のアマゾン社株価は米国株式市場で3%近く下落しましたが、アマゾン社の株価は過去5年で5倍以上に膨らんでおりこの長年の高い評価にはさほど大きな影響を与えていないようです。ホワイトハウスのサンダース報道官は同日、トランプ政権としてアマゾンを標的とした政策変更は何も検討していないと述べ、アメリカ政府や監督当局がアマゾン社に何らかの対策を講じるとの強い懸念が今のところ見られないことから株価の下げ幅がこの程度で済んだのでしょう。
アマゾン社はこれまでの長い間、ロビー活動や選挙支援、雇用創出など政策面への積極的な取り組みによってホワイトハウスおよび議会双方との良好な関係を築く努力をしております。ドローンに影響する連邦航空規則から独占禁止法に至るまで、アマゾン社は自社の事業運営に関わるさまざまな政府機関に接触をしているそうです。国内外の大企業がロビイストを雇い自社のビジネスや業界にとって不利益な法案が通らないよう(有利な法案が通るよう)ロビー活動を展開するのがアメリカでは一般的です。アメリカ合衆国憲法修正第1条に「政府へ懇願する権利(請願権)」が掲げられております。ワシントンDCには幾つものロビイストを抱える事務所が立ち並びます。
アマゾン社の上院への開示記録によると、同社は約15人のロビイストを雇い、更に外部のロビー事務所15社からロビイストをアマゾン社のために割り当ててもらっているそうです。アマゾン社は2017年に、前年2016年から1200万ドル増加させワシントンでのロビー活動に1540万ドルを費やしたそうです。(2015年には1050万ドルとそれ以前に比べ2倍以上に増したそうです。増加傾向ですね。)
同社では、社員から政治寄付を集め議員や政治家の選挙費用として寄付をする政治活動委員会(PAC)もあるそうです。2月末までにPACは110万ドルの資金を保有し、昨年から今年の年初にかけ合計71万8000ドル超を共和党、民主党の両党に寄付しているそうです。(数字や金額はロイター記事「アマゾン、トランプ攻撃を切り抜ける「政治影響力(3/30/2018 )」より)
今後トランプ大統領のアマゾン社攻撃はどうなるのでしょうか。アマゾン社のお膝元シアトルに住んでいるので気になります。

チフリガーデンのガラスアート。是非シアトルにいらしたら見てみて下さいね。アマゾン本社から徒歩圏です。
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